小津監督の映画で、『晩春』『麦秋』『東京物語』の3つには共通点があるそうです。
それは、ヒロインの名前がすべて「紀子」であることから、『紀子三部作』と呼ばれているということです。
この記事では、東京物語のあらすじと、結末、そして監督とキャスト、見どころと感想まで、いろいろなことを紹介しています。
ぜひ、動画配信で東京物語を見ていただけたらと思います。
東京物語のあらすじ
上京する2人
広島県尾道に住む、周吉と妻とみは、東京に住む子供たちに会いに行きます。忙しく東京行きの準備をする2人を見送る一番下の娘の京子でした。
東京では長男の幸一と嫁の文子と孫、長女志げと婿の庫造、そして戦死した次男昌二の嫁紀子が2人を迎えます。
日曜日には幸一家族が東京見物に連れていく予定でしたが、幸一の急な仕事のため、替わりに紀子が東京案内をしました。
皇居の美しい松の緑や、デパートからの街並みを楽しんだ後、紀子の家で美味しいお酒と食事を堪能しました。
美容室の仕事が忙しい長女志げは、周作ととみを熱海旅行へと勧めます。しかし旅館は若者で騒がしく落ち着きません。次の朝、静かに海を見る2人は東京に戻りました。
東京物語の結末
帰郷ととみの死
再び東京へと戻った2人でしたが、忙しい子供たちに対して申し訳なく思い、居場所を求めて上野公園に行きます。
周吉は昔の友人を訪ね、美味しいお酒を酌み交わしました。
とみは再び紀子の家に行きます。
まだ若い紀子にとみは、良い人がいたらいつでもお嫁に行くように伝えます。
このままでいいと笑って答える紀子に、とみは布団の中で涙するのでした。
次の日2人は東京に帰ります。
しかし周吉からのお礼の手紙と同時に届いたのは、とみ危篤の電報でした。
尾道に向かう幸一達でしたが、とみは亡くなります。
葬式を終えいそいそと東京へ帰っていく兄姉に対して冷たいと批判する京子でしたが、紀子はそれぞれ大人の事情があることをやさしく諭すのでした。
いよいよ紀子も東京へ帰ることになりました。別れる前に紀子に対して、昌二のことは忘れて自分の思うように生きることを伝えます。
紀子は自分の気持ちの変化に対して、自分はずるい人間なのだと告白します。周吉は感謝の気持ちを述べ、とみの形見の懐中時計を渡すのでした。
そして独りになった周吉はため息をひとつつくと、尾道の海を眺めるのでした。
東京物語のキャストと監督
日本を代表する名作
1953年に公開された日本映画です。
キャストとしては、
・平山周吉(笠智衆)、妻とみ(東山千栄子)、次女京子(香川京子)尾道で一緒に暮らします。
・紀子(原節子)戦死した次男昌二の嫁。会社勤めしています。
・平山幸一(山村聡)、妻文子(三宅邦子)内科医院を営んでいます。
・長女金子志げ(杉村春子)美容院を営んでいます。
・婿の庫造(中村伸郎)
監督は小津安二郎
小津監督映画『晩春』『麦秋』『東京物語』のヒロインの名前がすべて「紀子」であることから、『紀子三部作』と呼ばれる中の1作品です。
日本の名作品とされ、海外でも高い評価を受けました。世界の映画監督からも偉大な傑作であると称賛されています。
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ありふれた家族の問題
どこの家でもあるような親子関係、嫁、仕事事情を淡々と描いていると思います。
自分の親であるゆえにどことなく冷たい子供たちと、距離感のある嫁の立場であるからこそ優しい嫁の紀子が、対比的に描かれています。
そして家族というつながりを冷静にとらえています。
私自身、嫁の立場であり、郷里にも年老いた両親がいる歳になったからこそ、どちらの立場にも共感できると思うのです。
若い時に見ても正直この映画の良さが分からなかったかもしれません。
美しい日本の言葉
そして、最近の映画には無い、日本語の上品さと美しさがあると感じました。
映画の中で周吉ととみは、何度も「ありがと」と言います。尾道のなまりでしょうか、「が」にアクセントのあるそのやさしい響きが心に残ります。
また両親に対する紀子の「どうぞ召し上がって。」や「さあ、参りましょう。」等の美しい敬語は、本当に美しいです。
久しぶりに古き良き映画を観た気持ちになりました。
そして、近々尾道の海を見てみたいと思いました。