映画『チョコレートドーナツ』は偏見と闘うゲイカップルの姿を描いた作品です。
2012年にアメリカで公開され、1970年代にアメリカで起こった実話を基に、母親が逮捕されてしまったダウン症の少年と一緒に暮らすため、偏見と闘うゲイカップルの姿を描いた作品です。
監督を務めたのは、『17歳のカルテ』などのトラヴィス・ファインです。全米映画祭が絶賛、観客賞を総ナメにし、日本でも長期的にヒットしました。
2020年、本作品を東山紀之主演、宮本亞門演出により世界で初めて舞台化することになっています。12月7日~12月30日、PARCO劇場にて上演されます。
映画のあらすじとラストの結末
ゲイカップルとダウン症の少年
1979年カリフォルニア、歌手を目指しているショーダンサーのルディと弁護士のポールは出会ってすぐに惹かれ合い、カップルになりました。
ルディと同じアパートには、麻薬に手を染めたために母親が逮捕されて一人になってしまったダウン症の少年マルコがいました。
二人は彼を保護し、本当の家族のように幸せに暮らします。
しかし、ルディとポールがゲイカップルだということで、マルコと引き離されてしまいます。
マルコのためを思い、協力してくれる人がいる反面、偏見と差別を持って接する人が裁判でルディとポールを不利にさせ、ついに、マルコの監護権を獲得することができなくなります。
彼らは、必死で、もう一度裁判に持ち込みますが、母親が引き取る、と言って親権が認められてしまいます。
しかしその数日後、マルコの母親は再び麻薬に手を染め、男と遊ぶためにマルコは、外に追い出されてしまい、宝物の人形を胸に抱いて、夜道を歩いていってしまいます。
数日後、ポールは判事や裁判官たちに手紙を書きます。そこには、ある記事が同封してありました。
その記事には、マルコがあの夜から3日間行方不明になって、ルディたちに会うために歩き続け、その挙句、橋の下で亡くなっているのが発見されたというものでした。
そしてルディは、マルコのために、ステージで歌い続けるのでした。
最高のキャスト
全てを伝える演技力
・アラン・カミング
生年月日:1965年1月27日(55歳)
出生地:スコットランド
ショーダンサーのルディを演じたのはアラン・カミングです。彼は私生活では、バイセクシャルを公表しています。
高校時代から演劇を始め、地元の劇団でも活動を始めました。
グラスゴーのロイヤル・スコティッシュ・アカデミー・オブ・ミュージック・アンド・ドラマ在学中に舞台俳優としてデビューし、卒業後はTVドラマに出演しました。
その後ロンドンに移り、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーやロイヤル・ナショナル・シアターといった名門劇団で活躍しました。
91年に「プラハ」で長編映画デビューし、95年に「サークル・オブ・フレンズ」で米国でも活躍しました。
イギリスとアメリカで活動し続け、98年のミュージカル「キャバレー」ブロードウェイ公演では、トニー賞主演男優賞を受賞しました。
01年には映画「アニバーサリーの夜に」で製作・監督・脚本・主演を務め、高く評価されました。
その後は「スパイ・キッズ」3部作や「X-MEN2」、TVシリーズ「グッド・ワイフ」に出演しています。
・ギャレット・ディラハント
生年月日:1964年11月24日(55歳)
出生地:アメリカ合衆国
弁護士のポールを演じたのは、ギャレット・ディラハントです。
ワシントン大学でジャーナリズムを学んだ後、ニューヨーク大学で美術の修士号を取得しました。その後、舞台俳優となります。
90年代前半からTVドラマ「NYPD BLUE ニューヨーク市警15分署」や「X-ファイル」に出演しました。
99年に「Last Call(原題)」で映画デビューしましたが、TVの世界に戻り「4400 未知からの生還者」「ER 緊急救命室」に出演しました。
映画「ジェシー・ジェームズの暗殺」「ノー・カントリー」に出演した07年ごろからまた映画の仕事が増え、「ザ・ロード」「ウィンターズ・ボーン」「LOOPER ルーパー」などに出演しました。
数々の映画祭で観客賞を受賞し、日本でもヒットした本作品「チョコレートドーナツ」は話題になりました。
・アイザック・レイバ
ダウン症のマルコを演じたのはアイザック・レイバです。
実際にダウン症候群を持ち、本作品にて俳優デビューしました。
ディズニー・チャンネルのTV映画「ハイスクール・ミュージカル」を見てから演技の道に憧れ、中学校で多くの舞台に出演しました。
高校時代には、知的発達障害者の社会参加のためのスポーツ組織「スペシャルオリンピック」の活動に参加しています。
10年、アイザック・レイバの母親は障害を持った成人のための演劇学校パフォーミング・アーツ・スタジオ・ウェストを設立しました。
同校に通い始めて数週間後に「チョコレートドーナツ」のオーディションビデオを撮影したそうです。
Amazonプライム無料お試し登録見どころと感想
ゲイカップルへの差別
ゲイカップルの映画は初めて見たので、なかなか強烈でしたが、しばらく見ていると、ルディの表情や雰囲気が少し女性らしく、カップルとして自然に見れるようになっていきました。
ルディ、ポール、マルコの3人で楽しく食事をするシーンや、ルディの歌をポールとマルコが聴き入っているシーンなど、本当に幸せな家族の姿でした。
アメリカではゲイは普通と思っていたので、昔はこんなに差別を受けていたということに驚きました。
また、ゲイカップルが養子をもらえないというのはひどい話だと思いました。ダウン症の子供も、実の親といるよりもずっと幸せそうだったのに、最後は親の元に戻されてしまい可哀想でした。
心と体の性別が違って生まれることは本人が選択したことではないので、それによって社会的に差別してしまうのは酷ですね。
日本でも同性愛を公表している人が増えてきて、だいぶ昔より差別がなくなってきてはいますが、まだまだ差別する人も少なからずいるでしょう。
ハッキリ公表できず苦しんでいる人やいじめに遭っている子供もいると思います。早くそういった差別がなくなる社会になるといいですね。