映画『グランド・ブダペスト・ホテル』は日本では2014年6月に公開された、ドイツ・アメリカ合作のミステリーコメディ映画です。
高級ホテルのカリスマ的コンシェルジュと若いベルボーイの絆が描かれた作品です。
美しい映像や、可愛くてシュールな世界観から大ヒットとなり、アメリカでは『アナと雪の女王』を抜く興行収入を収めました。
第64回ベルリン国際映画祭審査員グランプリや、第87回アカデミー賞の4部門、ゴールデングローブ賞 映画部門 作品賞 (ミュージカル・コメディ部門)を受賞しました。
ヨーロッパ大陸の東端にあるという仮想の国ズブロフカ共和国が物語の舞台であり、歴史的なトピックスがパロディとして登場します。
美しいロケ地はドイツのゲルリッツというところだそうです。

映画のあらすじ
グスタブとゼロの逃亡
1932年、高級ホテル「グランド・ブダペスト・ホテル」を仕切る名コンシェルジュのグスタヴ・Hは、究極のおもてなしを信条に大勢の顧客をもてなしていました。
しかし、常連客のマダムDが殺され、遺産争いに巻き込まれてしまいます。
グスタヴは警察に殺人容疑をかけられ、逮捕されてしまいました。後に、脱獄します。
グスタヴは信頼するベルボーイのゼロと共に逃亡するのでした…。
ラストの結末
しかし、グスタヴの協力者と期待していたセルジュXが、既にC.V.D.u.T.の手によって殺されていました。
その真相を突き止めようとするグスタヴとゼロですが、C.V.D.U.T.はグスタヴを殺して少年と林檎を手に入れようとします。
そこに脱獄したグスタヴを逮捕しようとする警察も来て、グランド・ブダペスト・ホテルで相見えることになります。
そんな混乱の中、アガサとゼロは絵画の中に遺書を見つけます。
そこには、マダムDが自分の全財産をグスタヴに贈る、というものでした。それによってグスタヴは大金持ちとなって、アガサとゼロは結婚式を挙げるのです。
ところが不幸が続きます。
憲兵に拷問されそうになったゼロをグスタヴがかばったために、命を落とします。
さらに、最愛のアガサも、流行り病で死んでしまいます。
グスタヴの遺言によって、ゼロは全ての財産を引き継ぐ事になり、現在のグランド・ブダペスト・ホテルは続いているのでした。
この話を聞き終えた作家は、この話を書き留めようと、執筆にとりかかるのでした。

監督とキャスト
ウェス・アンダーソン
生年月日:1969年5月1日 出身地:アメリカ/テキサス州ヒューストン
本作の監督を務めたのは、ウェス・アンダーソンです。
高校時代から自主映画を作り、テキサス大学で出会ったオーウェン・ウィルソンと共に執筆し、ショートフィルム「BOTTLE ROCKET」を制作しました。
この作品がジェームズ・L・ブルックス監督の目にとまり、プロデビューのきっかけとなりました。
そして同作を、オーウェンとその弟ルーク・ウィルソンの主演でリメイクした作品、「アンソニーのハッピー・モーテル」で長編監督デビューを果たしました。
この作品でカルト的な注目を集めたウェス監督は、続く劇場映画第2作目「天才マックスの世界」で批評家から高い評価を受け、インディペンデント・スピリット賞の監督賞を受賞し、一躍有名になりました。
01年、家族コメディ「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」ではアカデミー賞脚本賞にノミネートされました。
レイフ・ファインズ
生年月日:1962年12月22日 出身地:イギリス/サフォーク
グスタヴ・Hを演じたのは、レイフ・ファインズです。
6人兄弟の長男として生まれ、王立演劇学校を卒業後、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーに入団し、活動を開始しました。
91年「ロレンス1918」で見出され、翌92年「嵐が丘」に出演しました。有名になったのは93年「シンドラーのリスト」でした。
これによりアカデミー助演男優賞にノミネートされ、以降、クールな雰囲気の役をメインに様々なジャンルの作品に出演しました。
95年にはロンドンやブロードウェイにて「ハムレット」に出演し、トニー賞を受賞しました。
私生活では同年「ER 緊急救命室 」のアレックス・キングストンと離婚しました。 その後、フランチェスカ・アニスと交際していましたが、06年に11年に破局しました。
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ドイツで最も美しい街
本作のロケ地はドイツのゲルリッツという街で、3,000以上の歴史的建造物が建ち、世界遺産にも登録されました。
「ドイツで最も美しい街」と言われています。
ドイツ最東端にあり、チェコとポーランドに隣接するという特殊な地理環境が、ゲルリッツを中世の名残を残している理由でしょう。
撮影のために、ヨーロッパ中を探して見つけたそうです。
実際ホテルとして撮影が行われたのは、元デパートです。
アールヌーヴォー様式の内装を2ヶ月かけて作りました。
3つの時代を生き抜いたホテルとして、それぞれの時代ごとにテーマを設けて雰囲気を変えています。
受付やコンシェルジュデスクなどが映る際は一色のテーマカラーを決め、衣装もその色に合わせて変えていました。
細部までこだわり抜いているので、とても美しい映画に仕上がっています。
